乾燥材にはもうひとつ、「調湿作用」という重要な機能があります。

 皆さんは湿度についてどれだけ関心を払っているでしょうか?「温度」の変化には非常に敏感になる私たちも、「湿度」のこととなると意外と鈍感になるものです。

 ところが、急激な湿度の変化は、私たちの体に大きな影響を及ぼすのです。

 たとえば冬場、暖房をつけすぎた部屋で寝てしまい、のどがカラカラになった経験はありませんか?たとえば梅雨時、大して気温が高いわけではないのにべったりとした不快な汗をかいたことはありませんか?

これらはすべて「湿度」の変化によって起こる現象なのです。

通常、人間にとって適当な湿度は45%から65%といわれています。

 海外などで非常に気温が高いにもかかわらず木陰などに入ると涼しく感じる国があるのは、その場所の湿度が低く、したがって私たちの汗がしっかりと蒸発し、体の熱を適度に逃がしてくれるからです。

 日本は、夏と冬の湿度の差の激しい国といわれています。
特に梅雨から初夏にかけての湿度の高さは皆さんもご存知の通りです。湿度が適度にコントロールされていない環境では、私たちの体に思わぬ悪影響を及ぼすことがあるのです。

 熱射病、という病気があります。
建物の中などの密閉された環境の中で発生する高温・多湿の環境の中に長時間置かれると、皮膚の体温調整機能が正常に働かず、体力を奪い、結果として日射病によく似た症状を起こしてしまいます。
屋外よりもむしろ、より長い時間をすごす建物の中でこそ、適度な湿度コントロールが必要であるといえるでしょう。

木材はこの調湿作用をしっかり持っているといわれています。
 この事実を検証するために、条件の違う3種類の「部屋」を用意し、ある実験を行いました。
おのおのの部屋の中で15分間加湿、さらに15分間の除湿を行いました。
加湿後、除湿後の室内の湿度は次の通りです。

 一目見てお分かりいただけると思います。ビニールクロスだけで囲まれた部屋に比べ、室内に木材を使用した部屋の中では湿度が安定しています。
 木材は強力な調湿機能を生まれながらにして持っているのです。

 通常、杉の柱一本の中にはビール瓶1本分の水分が含まれているといわれます。その水分は部屋の湿度状態に応じて材木から出たり、吸い込まれたりして室内を人間にとって快適な状態に保ってくれているのです。自然が持つ調整能力を享受することができるのは、木造住宅ならではのメリットであるといえるでしょう。

 たとえば校倉造りの正倉院は、1300年の永きにわたって日本の工芸品を守り続けてきました。大事な着物を守るためにはしっかりとした調湿作用を持つ桐のたんすが選ばれてきました。日本では伝統的にこうした木材の「調湿作用」を有効に生かしてきたのです。機械に頼るのではなく、木材に「快適な住まい」の主役を演じさせてみてはいかがですか?

 学習

 

1 快適な住まいの創造

2 クレームの原因は構造材

3 木材の調湿作用

4 断熱の効用
 〜温度管理の側面から

5 断熱の効用
  〜外部結露と内部結露

6 断熱の効用
  〜熱伝導率と結露

7 断熱の効用
  〜省エネルギーの側面から

8 断熱の効用
  〜上下温度差の低減

9 木が持つやさしさ
  〜マウス実験から

10 木より出でて木より強い木
  〜エンジニアリングウッド

11トラブルに負けないために
〜「品確法」について

12 住宅性能表示制度について