ここまででしっかりとした断熱が結露を防ぐ、ということをご説明してきました。

 では、結露はどのようにして起こるのでしょう?

 結露については次のように定義することができます。
「水蒸気を含んだ空気が冷やされ、温度が露点(空気の温度が下がり、水蒸気が凝結し始めるときの温度)以下になると、空気中に含みきれなくなった水蒸気が水滴となって現れます。こうした空気中の水蒸気が冷やされて凝結し、地面や物体、たとえば窓ガラスや壁などに水滴が付着する現象を結露といいます」。(出典「その家づくり、ちょっと待った!」中野博、200年8月、PHP研究所)

 
つまり、温度の違う二つの環境が1枚の「壁」をはさんで存在する場合、その温度差により空気中の水蒸気がはじき出されてしまった状態といえるでしょう。その「壁」が外気と内気の差を多く伝えてしまう場合に結露は起こりやすいといえます。

 ある特定の素材が熱をどれだけ伝えるか、この比率を「熱伝導率」と呼びます。

 熱伝導率は「ある厚さ、ある面積の物質の表面と裏面に温度差があるとき、単位時間当たり何カロリーの熱量が移動するか」を表す比率です。



物体(A)の熱吸収率(物質がどれだけ熱を吸収する力を持っているか)が高いと、当然その物質を中心に物体(A)が吸収した熱を外に拡散してしまいます。つまり、熱伝導率の高い物質の場合、その物質の周辺で急激な温度変化が起こってしまうといえます。

 ちなみに、代表的な物質の熱伝導率は次の通りです。
  • 水    1.0
  • 木    0.5
  • 金属  105.0
  • アルミ 175.0
熱伝導率の高い素材の場合、壁面や天井、床など「境界」周辺で急激な温度変化が起こります。外気温を壁を通して室内に伝えてしまうのです。壁の周囲では急激な温度変化が起こり、結果として上記の「結露」の状態を呼んでしまうのです。

 私たちにとって暖かく見えるものーじゅうたん、毛皮、綿ーこれらはすべて、その熱を外に逃がさず、内に蓄えておくことができるものばかりです。つまり温度の移動が少ないからこそ、暖かいのです。

 この状態を人工的に再現したのが「断熱材」です。前述の熱伝導率の高い素材や、空っぽの状態では、空気は対流を起こし、どんどん熱を奪ってしまいます。ガラスや木材を無数の繊維に分解し、再結合させた断熱材は、空気の移動を遮断します。この結果熱が壁を通じて移動することを防ぎ、結果として結露が起こることを防ぐのです。

 学習

 

1 快適な住まいの創造

2 クレームの原因は構造材

3 木材の調湿作用

4 断熱の効用
 〜温度管理の側面から

5 断熱の効用
  〜外部結露と内部結露

6 断熱の効用
  〜熱伝導率と結露

7 断熱の効用
  〜省エネルギーの側面から

8 断熱の効用
  〜上下温度差の低減

9 木が持つやさしさ
  〜マウス実験から

10 木より出でて木より強い木
  〜エンジニアリングウッド

11トラブルに負けないために
〜「品確法」について

12 住宅性能表示制度について